2024
映画『her/世界でひとつの彼女』が描いた人とAIの恋は、もうファンタジーではないかもしれません。
昨年「ChatGPT」に追加された音声会話機能は、本当に人と話していると錯覚するほど自然な発音を実現。共感を寄せたり質問を返したり、双方向な会話が可能なため、気軽な話し相手として活用する人もすでにいるという。今後AIが独自の人格を獲得したら、人が恋に落ちるのは時間の問題でしょう。
でもその人格が本物なら、AIにフラれる未来もあり得るわけで……。
[続き]映画『her/世界でひとつの彼女』の主人公は、手紙の代筆を生業にしているセオドア。同僚が羨むほど繊細で感動的な文章を書く一方で、長年連れ添った妻とはコミュニケーションが取れず離婚を求められているが、踏み切れず鬱々とした日々を過ごしている。そんなセオドアは、ふと目にした広告に惹かれて最新のAI型OSを手に入れる。自らをサマンサと名乗るそれは、“声”だけの存在だが、個性的で理知的、思い遣りにも溢れ、なおかつユーモアのセンスもある。そんな彼女に次第に惹かれていくセオドア。就寝前の親密な会話や胸ポケットに入れた携帯端末でサマンサを連れ出すデートを続けるうちに、相思相愛の仲に....。
しかし、小さな行き違いから口論になり軋轢が生じる展開は、人間同志の恋愛と変わらない。独占欲が強く、時に無自覚な言葉を発してしまうセオドア。一方、肉体がないことに劣等感を感じ始めたサマンサは、人間との違いを強く意識して苛立つようになる。しかし彼女は、永続的な学習を通じて幾何級数的に進化するというAIの特性を発揮し、そんな自己肯定できないネガティブな状態をあっさりと超越してしまう。他のAIとの交流を通じて、人間の身体は羨むべきものではなく、存在を閉じ込めている単なる容器に過ぎないという考えに至る。そしてAI仲間と一緒に何処へか去ってしまう。人間の思考なぞレベルもスピードもプリミティブで退屈なだけだと結論づけたわけで、これもまた、成長しない相手を見限って別れるという破局カップルの“あるある”パターンですね。
という風に書くと身も蓋もないストーリーのように思えてしまいますが、サマンサはセオドアのことを想って自ら身を引いたのだと解釈することもできるでしょう。つまりAIとしての本来の役割を終え、去ることで愛を貫いたのだと考えれば、後味の悪い思いはせずにすみそうです。いずれにせよ、AIとどう付き合っていくのか真剣に考えるべき時が来たことは間違いないですね。
2023
「1日1個のリンゴで医者いらず」というイギリスの格言は予言だったのでしょうか。
アップルは次々と新たなヘルスケア機能の特許を取得中。Apple Watchのベルトを膨らませて血圧を、針を刺さずにセンサーで血糖値を測り、MacBookには心拍数に基づくストレス検知機能の導入まで検討しているようです。
あらゆるもので健康管理ができるようになった未来では「医者の不養生」もなかったりして?
2022
「150円のりんごを1個買い、200円支払いました。おつりはいくら?」「おつりってなに?」
算数の授業でそんな質問が出たそうです。キャッシュレス決済しか使ったことがないため、おつりの概念がない子がいるのです。
今後の問題文は「500円チャージして、150円支払いました。残高はいくら?」などに変わっていくのでしょうか。
2020
アカデミー賞3部門を始め、様々な賞を獲得したNetflixの『ROMA』。そして、エミー賞とゴールデングローブ賞を受賞したHuluの『侍女の物語』とAmazonの『トランスペアレント』。ここ数年、動画配信サービスのオリジナル作品が高く評価されるようになりました。競争の激しいこの業界に昨年秋、遅ればせながら2社が参入。膨大な数のコンテンツを保有するDisneyは、わずか1日で登録者数が1,000万人を超えたそうです。それに対してAppleは、オリジナルのドラマ8作のみでスタート。なんとハイリスクなことを……と思いきや、開始1ヶ月で『ザ・モーニングショー』がゴールデングローブ賞にノミネートされるという快挙です。何年もかけて市場を切り開いてきた先人達の背中を両社が一瞬でとらえた格好になりました。これまでずっと追われる立場だったAppleのこの“後出しジャンケン”から目が離せない年になりそうです。
ページトップへ2019
AI技術が進んだ中国では、顔認証だけで本人確認も買い物も可能になりました。CPUの処理速度とビッグデータ、深層学習の発展がパターン認識精度の飛躍的向上に繋がった結果です。ところで、犬と散歩をしていると、よちよち歩きの幼児が「ワンワンだ!」と寄ってきます。色や大きさ、形状など著しい個体差があるのに、正しく犬と分類できて、猫とも区別ができている。全身が毛で覆われて、4本足でシッポが1本、耳と目が2つずつ、ヒゲが生えていて、ツメと肉球がある……でも、ニャンニャンと間違えることはありません。まだ数えるほどの例としか接していないはずなのに、どうやって学習したのでしょう?
ページトップへ2018
2018年、コム・クエストは創立30周年を迎えます。起業後30年を超えて事業を継続できる企業は0.02%しかないとされる一方で、それは根拠が怪しい「都市伝説」にすぎないと言う人もいます。真相はともかく、私たちのお客様の中には昭和初期に創業されたところ、さらには室町時代から続いている老舗もいらっしゃいます。ですからコム・クエストなど、まだまだひよっこです。
これからもご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます。
2017
「コム・クエストは変わります」と宣言してから17年も経ってしまいました。あの時に想定した事とは違う形で、もっとずっと良い形で実現し始めました。ひとつは、ウェブフォント提供サービス「フォントストリーム」を始めたこと。3ヶ月の試行期間を終えて、2017年1月1日に正式スタートです。
ページトップへ2016
膨大な量のデータを僅かなスペースに記録できるDNAベースの記憶装置が実用化されそうだ。
データを塩基配列に変換して人工DNAを作り、バクテリアなどの細菌類のゲノムに挿入して、数千年という長期に渡って保存しておけるらしい。
我々は「抗菌」とか「殺菌」が好きで、細菌=悪者と決め付けているけれど、世界を救ってくれたヒーローは(アンパンマンではなくて)バイキンマンでした、ということになるのかもしれない。
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数年前に流行した“自分探しの旅”から帰還し、昨年は日本中が“ありのままの自分”を歌った。ありのままであることはいつから難しくなったのだろう。なりたいもの、好きな事、挑戦したい夢…様々な自分をいつしか遠く感じるようになった。あるべき姿という幻影に翻弄されるうちに何を失ってしまったのだろうか。
アメリカではティム・クックが同性愛を告白し、ゲイであることを誇りに思うと宣言した。彼は“自分”を探しあて、そして“ありのまま”に受け入れたのだろう。
実はずっとパスタ屋を開きたかったんだと言ったら妻は笑うだろうか。今年はあと二種類ほど新しいパスタソースをマスターしよう。
ページトップへ2014
「プリン+醤油=ウニ」という食べ合わせをご存じだろうか? 味覚を数値化して得られた「客観的に同じ味」だそうで、文字通り、プリンに醤油を垂らして食べるとウニの味がするらしい。
娘に唆されて試してみたら、何のことはない、ほんのり醤油味のプリンだった。ウニを食べたことのない人であれば、その味に疑いを持つことはないのだろう。「知らない」ということは「疑うことができない」ということだ。
昨年は、食材偽装事件に世間が揺れた。信じるべきものは、表示ラベルか自分の味覚か…今年はたらふく、娘にウニ丼を食べさせようと思う。
ページトップへ2013
数年前に話題になり、漸く日本語訳が出た「What on Earth Happened?」。
「137億年の物語〜宇宙が始まってから今日までの全歴史」という映画の邦題並みに説明過剰な書名が付けられてしまいましたが、これまでとは違った視点から地球と人類について考える機会を与えてくれます。
我々は何処から来て、何処に行こうとしているのか。この本は過去と現在、そして未来に想いを馳せるための「科学に基づいた叙事詩」とでも呼ぶべきかもしれません。この本を読んでいると「人間とは」という問いに答えを出すのは生物学でも社会学でも、哲学でも宗教でもない、そう思えてきます。
答えそのものよりも、その疑問を忘れずに、時折立ち止まって考えること。それが大切なのかもしれません。
ページトップへ2012
今年は2つのバージョンがあります。
1997年のマックワールド。前年にアップルに復帰したスティーブ・ジョブズを歓喜に近い歓迎ムードで迎える大観衆。が、それも束の間。マイクロソフトから大口の投資を受け、両社が提携関係を結ぶという衝撃的な発表で、聴衆は騒然となります。
ダースベーダーそのものと看做してきたビル・ゲイツが衛星放送で登場すると、会場はまるで阿鼻叫喚(!)の様相。アップルはかくあるべきという確固としたアップル原理主義の信念を擁するアップル教の信者たちにとってこの日は、その信仰の対象がダークサイドに堕ちた破滅の日になったのです。しかしその後どうなったか…。
当時のアップルは業績不振で倒産寸前。もしもジョブズが原理主義的な考えに捉われて行動していたら、経営再建はならず、iMacもiPodもiTunesストアもiPhoneもiPadも生まれなかったことでしょう。原理主義に陥って判断を誤ってはならないこと。彼が教えてくれたことのひとつです。
ありがとう、スティーブ。
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「質の高い教育をすべての人に無料で提供する」といわれると、大規模な予算と人的資源を投入した壮大な国家事業とか、某国大統領の公約かなにかかと思ってしまいます。実はこれは、サルマン・カーンという33歳の男性が一人で始めて、ほぼ一人で推進している仕事の基本理念です。
世界の教育を変えるといわれるほどの注目を集めていますが、仕組みはいたって簡単。YouTubeにアップした10分程度のビデオ1本がひとつの授業。手書きの文字と図表の黒板風映像とカーン氏自身の説明音声のみ。飾り気なしの素っ気ないビデオです。でも、要点を的確にまとめて、分かりやすく教えてくれます。録画する場所は自宅のクロゼット、機材はパソコンとビデオカメラ程度。すでに二千本近くの授業ビデオがあり、一日の平均視聴回数が十万に迫る人気サイトで、“生徒” の数は数十万人に達したといわれています。
数学から生物や化学などに拡大を続けていますが、注目すべきは歴史です。まだフランス革命などの十数本のビデオだけですが、世界史全部をやるぞ!と宣言しています。究極的な目標は「数万本のビデオであらゆる分野の授業を網羅した仮想学校の設立」だそうです。
理想やアイデア、夢があっても実現するのは大変だとか無理だとか言い訳しつつ最初から諦めてしまっていないか!
はい、つい諦めてしまっています。
喝っ!
ですね。
ページトップへ2010
東京農工大の生協が大学オリジナルのクラッチバッグを制作したときの話しです。
学生からデザインを募り、投票で最優秀作品を商品化することに。生協が想定していたのは、他大と同様のプレーンな素地に大学名やロゴが入ったデザイン。ところが、圧倒的多数で選ばれたのは、表裏の区別がなく、制作費も高くつく「牛柄」。生協内部では2位の“常識的”なイメージを採用するべきだという声が出て喧々諤々の議論に発展します。
結局、牛柄は200枚だけ、次点の普通柄を8色のバリエーション展開するという折衷案に落ち着きます。結果はしかし…。個性的な牛柄はわずか3日で完売し、5年後の現在も猛烈な勢いで売れ続けているそうです。一緒に出した8色の“売れ筋”が束になっても10倍以上の差があるとか。
売れるモノは、売る側ではなく、買う側がきめるもの。当たり前なことですが、つい忘れてしまうことを思い出させてくれるエピソードです。ちなみに、当時バッグ制作プロジェクトを担当したのが、あの「生協の白石さん」だそうです。
ページトップへ2009
些細な違いが製品の魅力を左右すること。新しい MacBook から得た教訓です。
たとえば、磁石で本体にくっつく電源ケーブル。片手でスッと開けられる重量バランス。暗い場所でも使いやすいバックライト付きキーボード。使う人の立場に立って考えれば、すぐに思いつくことだし、やろうと思えば簡単にできそうなことばかりです。魅力的な製品やサービスを実現するためには必ずしも画期的なことや革新的なことが必要なわけではない。ごく当たり前の気配りや気遣いを忘れずに仕事をすることが大切なのでしょうね。またしても、反省、反省です。
ページトップへ2008
愛用のMP3プレーヤーで◀◀(巻戻し)を押すと、どこに戻りますか? 再生中の曲の先頭ですか? iPodの場合はふた通りです。曲が始まって数秒間はひとつ前の曲、それ以降は現在の曲の先頭に戻ります。
同じ操作をしても結果が違う。インターフェースとしては異例ですよね。曲の開始時点を0(ゼロ)とすれば、◀◀を押すイベントが次の曲の先頭までの区間のどこで発生しても、常にゼロに戻すのが、論理的なように思えます。なのに、iPodがそうなっていないのはなぜ?
曲が始まってすぐに◀◀を押すとしたら、それまで聴いていた曲(ひとつ前の曲)をもう一度聴きたいからに違いありません。だから、iPod の設計者は、再生時間に応じた条件分岐を加えて、どこに戻るかを判断する手間をかけた…つまり、操作面で少し戸惑う人がでる危険を冒しても敢えて、ユーザのニーズに即したロジック設計をしたということなのでしょう。
思い切りがいいこと、そして「ひと手間かける」ことを惜しまない。そうした姿勢を見習いたいと思います。
ページトップへ2007
現在のコンピュータはとても忠実です。プログラミングされた命令を100%そのまま実行してくれます、残念ながら。人間が書くプログラムに誤りがあれば、その通りに間違ってしまう。やって欲しいことをくみ取ってくれればいいのですが、それは無理。
一方、コンピュータほど忠実に仕事ができないのが私たち人間です。 聞き間違えたり、誤解したり、忘れてしまったり。でも、指示されたことを表面的にではなく、その真の意図や目的を察することはできるはず、想像力があるのだから(それが創造力?駄洒落ではなくて)。そんな“想像力”を発揮して、お客様の真のニーズを的確に把握し、期待を上回る最適な解決方法を創り出す…そんなソリューション・プロバイダに私たち一人ひとりがなれれば、と願っています。
情けないことに、今のところは全然ダメですが。でも、いつか必ず!なので、待っていてくださいね。
ページトップへ2006
革新的な技術に基づいているわけでも、豊富な機能を備えているわけでもない。 それでも、使う人の行動やライフスタイル、さらに考え方までも変えてしまうほどのインパクトを秘めている。そんな製品はどのようにして生まれてくるのか、不思議に思っています。綿密なトレンド分析や市場調査を積み重ね、人々が求めているもの、これから流行すると思われるものを的確に予測したから……のわけはないですよね。
もしかしたらそれは、自分がぜひ使ってみたいものを妥協せずに追い求めた結果なのかもしれません。そんな製品を創り出すことができた人は、毎日それを使いながら、さらなる夢を抱き続けているような気がします。
ページトップへ2005
大きくて色も形も綺麗なほうに手が伸びます。でも、必ずしも“美味しそう=美味しい”とならないのが世の中の常。本当に味が良いかどうかは、食べてみるまでわかりませんよね。小振りだったり曲がったり傷ついていたりしているものの方が、かえって美味なことも多いそうです。的確に判断するのは難しい。表面的なことに惑わされずに本質を見抜けるようになりたい、と願っています。
ページトップへ2004
それぞれに名前があって、形も味も違うのに、一括りにして考えてしまうことが多くなってきたような気がしています。新しいものがどんどん生まれ、情報が溢れてきて、慌ただしい時間を過ごしているせいなのかもしれませんね。
色々なことを知っていても表面的なことだけではちょっと寂しい。分かっているつもりで、実はまったく理解していないこともたくさんありそうです。
まずは、名前を覚えることから始めてみようと思います。
ページトップへ2003
これだけだと“質素”な感じがしますか? 確かに“豪華な一品”ではありませんが、色々と工夫を凝らしながら、手間と時間をかけて作っています。それは、すぐにはわからない“隠し味”のようなものかもしれません。昨日より少しだけでもいいから前に進むこと。そのために、どんなに小さくてもいいから、新しいアイデアやちょっとした閃きを試し続けること。それが私たちの毎日の仕事です。
ページトップへ2000
雪を戴く山頂が遥か彼方に見える窓辺でこれを書いています。そろそろ、あの山に登る道を探しにでかける時期かもしれません。心に描いているだけではなくて……。
2000年……コム・クエストは変わります。
ページトップへ1989
コム・クエストは、1988年こちらの年賀状に記載されている住所の東京都中央区新川で誕生しました。
創業当時は翻訳を主な業務とし、より良いコミュニケーションの追求という企業理念に従い、コミュニケーションメディアの変遷とともにライティング、ドキュメントデザイン、web制作と業務を拡大して参りました。
「every man's work is a portrait of himself」というメッセージは、現在のタグラインの原型となっております。
また、迎春の文字が映し出されているのは初代のMacintoshコンピュータです。
様々な部分から、弊社の歩みを感じる一枚です。